「ごはんですよ!」シリーズはどうして生まれた? ~桃屋の商品開発のひみつ

「ごはんですよ!」シリーズはどうして生まれた? ~桃屋の商品開発のひみつ

今回は、大ヒット商品「ごはんですよ!」をはじめ、ついついご飯がすすんでしまう商品ラインナップで知られる株式会社桃屋さんを直撃取材。ご飯のおともとして日本中で愛され続ける商品が誕生するまでの、エピソードや工夫をお話しいただきました。


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桃屋が考える「ご飯にあう商品」とは?

桃屋の商品開発についてお話してくださったのは、株式会社桃屋 営業企画室のKさんです。富山県出身で好きなお米は地元が誇る「富富富(ふふふ)」、炊き方は固め派というKさんは、突然の申し入れにもかかわらず終始にこやかに答えてくださいました。

●まずは以前より気になっていた疑問から。桃屋の商品開発では、あわせるご飯の基準となっているお米の種類や炊き方などはあるのですか?

どんなお米にも、どんな炊き方でもおいしく食べていただける商品を目指していますので、銘柄の指定などは一切していません。「あえてこだわらない、というのが、こだわり」とも言えますね。商品企画の際に一緒に食べるご飯は、ご家庭で一番よく使われている大きさの炊飯器を使って炊いています。

●こだわらないことに、こだわっているのですね。深いです!では次の質問です。桃屋の「ごはんですよ!」をはじめとする、ご飯のおともになる商品をたくさん販売されていますが、その開発エピソードを教えてください。

当社を語るうえで外せない商品が「ごはんですよ!」です。桃屋には「江戸むらさき」という1950年に発売されてから今も人気の海苔佃煮がありますが、こちらはどちらかというとお酒のツマミとして食べられることが多い商品です。そこで、女性や子供に食べてもらえる商品を作ろうということで誕生したのが「ごはんですよ!」でした。青さのりを使い、煮込む時間も「江戸むらさき」より短くすることで、とろみがありご飯にしっかりよくなじむようなテクスチャーに仕上げることができました。

ごはんですよ!145グラム 永遠のロングセラーです

●「ご飯のおとも」であることをアピールするために、商品名にも「ごはん」を入れたのですか?

そうですね。従来の佃煮とは違うインパクトある名前にしたいと考えていた、当時の社長(現名誉会長)・小出孝之が、自宅にて夫人がお子さんに「ご飯ですよ~」と呼びかけたのを聞いて「これだ!」とひらめいたことから生まれた商品名です。桃屋はびん詰めにこだわっているため、名前だけでは海苔佃煮だと分からなくても売り場でお客様に中身を確認していただけることも功を奏し、発売と同時に一気に大ブームとなりました。今では他にも「ごはんですよ!梅ぼしのり」など、シリーズ商品も揃っています。

●「ごはんですよ!」は、狙い通りご飯と一緒に食べられているのですか?

はい、間違いなく!ご飯にかけて食べている人が多いです。さらに最近では「手間と時間をかけて作っている商品だからこそ料理にも使っていただけること」を紹介する「かんたんレシピ」も公開しています。ご飯にかけるだけでなく、調味料としてチャーハンに混ぜたり、ご飯にあわせる新しいおかずメニューに活用したりといった提案をしています。

ごはんですよ!を使った黒チャーハン。和テイストが新鮮

ご飯によくあう商品は他にも?

●「ごはんですよ!」の他にも、ご飯によくあうおすすめ商品はありますか?

時代の先取りとなったラー油シリーズ

「辛そうで辛くない少し辛いラー油」をはじめとする「食べるラー油」シリーズも、ご飯がすすむ商品だと思います。辛いのが特に好きな方向けに「しびれと辛さががっつり効いた麻辣香油」や唐辛子がメインの「辛さ増し増し香ばしラー油」など、お好みに合わせて展開しております。「食べるラー油」シリーズはタイや台湾など、お米を食べる文化がある東南アジア圏でも人気があるんですよ。
なかでも個人的にもおすすめしたいのは「きざみしょうが」という商品です。これは名前の通り細かく刻んだ生姜を、オリジナルのなたね油で包んでチキンブイヨンなどで味付けをしたもの。普通だとご飯ではなく調味料として使うイメージかと思いますが、桃屋では「ご飯にそのまま乗せておいしい商品」として発売しています。しらすと一緒に乗せて「しらすしょうが丼」にするのも人気があり、毎年しらす漁の解禁に合わせ3月にCMで紹介しています。お醤油をかけなくても、とてもおいしく食べてられますよ。「きざみしょうが」は一度購入すると多くの人がリピーターになります。お徳用サイズにシフトされる人も多い人気の商品です。

●どれも本当に、ご飯がすすみそうですね。そもそも桃屋では、「日本人とお米」はどのような位置づけにあると考えていますか?

日本人のお米離れという話もありますが、少し古いですが2013年のJAさんの資料で「毎日お米を食べている」と答えた人が8割だったそうです。やはり日本人とお米は、切っても切り離せない存在なのだと私達は考えています。ですから、今後も白いご飯にのせる商品を提案していくとともに、ご飯にあわせる料理提案をすることでお米推進のお手伝いができればと思っています。
桃屋はびん詰めの会社ですが、1回使い切りのスティックタイプの商品の発売を始めています。これもまた、お弁当や病院の売店などご飯のおともとしてさまざまな食シーンを応援したいという思いをこめて発売させていただきました。

●最後の質問です。桃屋おすすめの「こうすれば、さらにご飯がおいしく食べられる裏技」があれば、教えてください。

はい。上司ともこのご質問を相談した結果、大変におこがましいのですが……桃屋商品を買っていただくのがいいかなと思っております(笑)。そのままご飯にのせたり、弊社HPの料理レシピもご活用いただければ幸いです。

アボガドのごはんですよ!和え。簡単レシピ集は必見です

最後は、桃屋の皆様の商品への愛情と自信を感じさせる回答をいただきました!営業企画室のKさん、桃屋の皆様、取材にご協力いただき感謝申し上げます。

【まとめ】

日本人のご飯のおとも商品を揃えていることで知られる桃屋の商品開発では、どんなお米にもあうように、お米の種類も炊き方もあえて普通であることを大切にされていることがわかりました。日本人とお米は切っても切り離せない存在と考えている桃屋では、ヒット商品「ごはんですよ!」をはじめ、今後もご飯とあう新しい商品の開発とともにご飯にあうレシピ開発にも力をいれていくとのことでした。

(取材・文/N)