新米と呼ばれるのは、いつからいつまで?
お米の収穫はどの品種も年に1度きりですが、収穫された後のお米が新米と呼ばれるための基準はどこにあるのでしょうか。収穫した直後のお米が新米だと誤解している方もいるようですが、お米は収穫後すぐに食べることはなく、しばらく乾燥させる時間が必要なのです。さらにその後は、精米をしたり包装したりといった工程もあります。ですので、お店に並んでいる新米は、どんなに短くても収穫後1ヵ月くらいはたっているお米とになります。
では、新米と呼ばれるのは、いつからいつまでのお米なのでしょうか?現在はJAS法(農林物資の規格化等に関する法律)が、新米の規定基準となっています。玄米及び新米品質表示基準により「新米と呼ぶことができるのは、収穫された年の12月31日までに精米され、袋詰めが終わっているもの」と決められており、この基準をクリアできないと包装袋に新米と表示することは許されません。
同時にこの基準では、例えば収穫が遅い品種のお米を11月半ばに収穫して、精米と包装を翌年1月に行った場合などは、さほど時間がたっていなくても新米とは表示されません。お米の袋には「産年」と「精米年」を記載することが義務づけられていますので、新米のおいしさをできるだけ長く味わいたい方は、表記をチェックして新米に近いものを探してみてはいかがでしょうか。
新米がお店に並ぶのは、何月から?
それでは、新米がお店に並び始めるのはいつでしょうか?秋が深まるとともに収穫された新米がいっせいに店頭に並ぶ……、というのは実はひと昔前の風景。品種改良により収穫時期の早いお米が増えたことや、地球温暖化の影響もあり、収穫の時期は実に初夏から秋の終わりにかけてと随分長くなっているのです。
新米が店頭に並ぶ時期は基本的に日本列島を南から北上していきます。沖縄や九州の一部が7月初旬から、九州や近畿、東海、北陸が8月初旬から、関東が8月下旬から、新潟が9月中旬から、東北10月上旬あたりから新米が登場します。全国のお米をポチっとネット注文していけば、7月から12月まで実に半年にわたって新米だけを食べることも可能なラインナップですね。なんと沖縄県石垣島では、2015年5月20日にお米の収穫がはじまった記録もあるそうです。
新米のおいしい炊き方とは
やわらかく粘りのある食感や、ふわっと豊かな香り、白くつややかな炊きあがりなど、やはり新米は格別です。古米と比べて細胞壁がやわらかいことや、水分量も多いことが、おいしさの理由と言われています。せっかくの新米をさらにおいしくいただくために、今回おいしい炊き方を調べてみたところ、ひと昔によく聞いた常識と最近では、販売時期同様に炊き方も変わってきていることが分かりました。では、おいしい炊き方をポイント別に詳しくご紹介しましょう。
●保存温度に気をつける
地球温暖化の影響で室温が高くなっていることに加えて、新米販売の季節も以前より早くなっています。繊細な新米が暑さで傷まないように、保存温度に気をつけてください。常温保存では涼しさがキープされないようなら、冷蔵庫の野菜室に入れてしまうのも手です。
●新米は研ぐのではなく洗うように
今のお米は、精米技術が進化して米ぬかがほとんど残っていません。力を込めて研ぐ時代は終わりました。フレッシュな新米の場合はよりやさしく、研がずに水の中で泳がせるように洗って、水を数回替えて流すだけでOKです。
●吸水時間は短めで
炊飯前に長時間つけておく必要はありません。新米は細胞壁がやわらかいので、吸水時間は30分程度で大丈夫。
●水加減はひかえめにしなくていい
お米業界の保管技術の向上等により、新米と古米の水分差がひと昔に比べて小さくなっていることに加えて、炊飯器の性能も向上しました。その結果、今ではご飯を炊くときの水の量は、新米もいつものお米と同じで良いというのが昨今の考え方です。「新米は水加減ひかえめ」はもう忘れてもよさそうです。水加減は、新米か古米かではなく、お米の品種の違いにより左右される時代となっています。新米を初めて炊くときには初日はまず一般的な水の量で炊いてみて、炊きあがりの様子から水加減を調整していくことをおすすめします。
いかがでしょうか。お米の進化だけでなく地球温暖化という大きな問題が新米の炊き方にも関係してきていることには驚きました。新常識にアップデートして、令和の新米をおいしくいただきましょう。
【まとめ】
現代の新米は、JAS法により「収穫された年の12月31日までに精米され、袋詰めが終わっているもの」を指すと決められており、日本ではこの基準を守っているものだけが新米表示を許可されているため、新米と安心して購入できます。お米の品種改良や地球温暖化により、新米販売時期は初夏から晩秋までと長くなってきていることなどから、新米をおいしく炊くための常識もひと昔前とは変わってきました。「初夏から新米が登場するため、保管の際の室温に気をつける」、「水加減は新米だからといってひかえめにする必要はない」など、新しい情報を取り入れてることが令和の新米をおいしくいただくコツとなります。
(取材/N)