おいしさを保つお米の保存場所、保存法とは

お米を買った時の袋に入れたまま保存している方、いらっしゃいませんか? お米は適切に保存しないと、傷んだり、味が落ちたりします。今回は正しいお米の保存方法をお伝えします。


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お米の正しい保存場所

お弁当のご飯の真ん中に乗っている梅干し。実は、おいしいから乗せているだけではありません。梅干しは、食べると酸っぱい「クエン酸」を多く含んでいます。そしてクエン酸は、食中毒の原因となる細菌の増殖をおさえる効果を持っているのです。つまり「日の丸弁当」はいにしえの日本人が気付いた“ご飯を腐らせない知恵”だったんですね。

これはお米の小話、今回は炊く前のお米をどう保存すべきかをレポートします。

お米の保存場所には以下の4つの条件を満たす場所が最適です。

1:湿度の低いところ
お米は湿気を吸収します。すると、カビが発生しやすくなるのです。そこで、お米を保存する時は湿気が少ない場所がおすすめ。逆に湿度が高いキッチンの水回り、特にシンクの下に保存するのはおすすめできません。

2:10~15℃の温度を保てるところ
お米は20℃以上の場所に置いておくと傷みはじめ、においが発生しやすくなります。すると、においに引き寄せられてコクゾウムシやノシメマダラメイガといった虫がつき、お米に卵を産み付けてしまうこともあります。15℃以下の場所ではこれらの虫はほとんど活動しません。

3:直射日光の当たらないところ
直射日光の当たる場所でお米を保存しているとお米が乾燥し、炊いたときにパサパサとした食感になったり、割れやすくなったりします。おいしく食べるためにも直射日光は避けてください。

4:においを発するものが近くにないところ
炭には消臭効果がありますが、これは炭の表面に穴がたくさんあいていて、そこに匂いの成分が入るから。同様にお米の表面には無数の穴があり、吸収してしまうのです。石鹸や洗剤、香り付きの消臭剤など、強いにおいが発生するものの近くに置かないようにしましょう。

では具体的にはどこがよいのでしょうか?

まずは風通しのよい日陰です。次は「冷蔵庫の中」。ただし冷蔵庫には匂いが充満しています。そこで、お米が匂いを吸収することがないよう、専用の容器に入れて保存しておくことをおすすめします。

お米を保存する容器

「なら、お米を買った時の袋に入れておけばいいじゃない」と思った方、実をいうとお米の袋には通気性を良くするために小さな穴が開いています。穴から空気が入ると、お米がどんどん酸化し、味が劣化する原因となってしまいます。

おいしくお米を食べるためにも、お米は買った袋から出して、密閉性の高い容器に入れ替えたいもの。また、密閉容器で保存すれば虫よけにもなります。

それでは、お米を保存するのに合った容器にはどのようなものがあるのでしょうか

お米専用の保存容器

 

 

 

 

 

 

 

 

最も適しているのは、お米の保存専用に作られている容器。におい移りの防止や、防虫、酸化を防ぐ密閉機能が備わっています。容器を選ぶ時は取り出しやすさや、お米の残量の分かりやすさもポイントです。但し、このなかでコクゾウムシなどが一匹でも発見されたら要注意!取り除いたと思っていても、容器のなかで繁殖している可能性があります。このようなときには、お米を一旦すべて取り出して、水で洗浄してから日干しをするなどのメンテナンスをおすすめします。

ペットボトル

 

 

 

 

 

 

 

 

ペットボトルはキャップで密閉でき、かつ手に入れやすい容器です。しかも、使い終われば気軽に捨てられるため衛生的。実は、お米の保存に向いているんです。冷蔵庫のドアポケットにも保管できるためスペースもとりません。
ボトルの穴は小さいため、移し替える時に手間がかかりますが、じょうごを使えば簡単。500ミリリットルのペットボトルがお米2.5合分になるため、分かりやすいですよ。ただし、ペットボトルの水分を完全に出し切ってからでないと、お米がカビてしまう原因になるので、要注意です!

ジッパーバッグ

 

 

 

 

 

 

ジッパーバッグは密閉して小分けに保存できるため、お米の保存に向いています。また、ペットボトル同様使い終わっても処分が簡単で、衛生面も優れています。事前に計量して保管しておくと、お米を炊く際にひと手間省けるのも良いところです。

お米の保存期間は?

お米を買った時の袋には、賞味期限が記載されていないのをご存知でしたか。記載されているのは精米を行った年月日のみ。最近では、食品ロスの削減などの観点から、「●月上旬」といった「旬表示」が主流になってきました。お米は野菜と同様に生鮮食品の扱いとなるため賞味期限の記載を義務付けられていないのです。だからといって、長期間放置してよいわけではありません。

お米は精米を終えた瞬間から味の劣化が始まります。精米の時に出るお米のぬかの油分、具体的にはとぎ汁の基になる「肌ぬか」が次第に酸化するのです。また、お米に含まれる水分量も減り、お米の表面が傷んでくると、ご飯を炊いたときにパサパサとした食感になります。すなわち、肉や魚と同様にお米にも「鮮度」が存在するのです。

具体的には、下記の保存期間内を目安に食べてください。

・春、秋:精米後1ヶ月程度
・夏:精米後2週間程度
・冬:精米後2ヶ月程度

思っていたよりも短いと感じた方も多いのではないでしょうか。そう、おいしいお米を食べたいのであれば、こまめに買い足すことがおすすめです。

しかし、これはあくまで「おいしく食べるための目安」。以下のような場合は、衛生的に問題があるので、残念ですが破棄をおすすめします。

1:お米が灰色や黒色、茶色に変色してしまっている
お米が変色しているのは、カビや菌が繁殖しているから。食べると有害で、しかも増殖した菌が周囲の食品にも悪影響を与える可能性があるため、早めに処分しましょう。

2:虫がわいている
最初の章でもお話ししましたが、お米にはコクゾウムシやノシメマダラメイガといった虫がつくことがあります。これらの虫は強い繁殖力をもつため、1匹でも見つけたら大量に卵を生んでいる可能性があります。虫を見つけたらすぐにお米を処分してください。

3:異臭を放っている
異臭はお米が腐ったことによる、発酵臭の可能性があります。この場合も食べずに処分してください。

【まとめ】

お米は毎日食べるもので、かつ日持ちします。だからといって大量に買い込むと、変色、劣化、酸化してしまうのです。そこで「こめペディア」では、ジッパーバッグに入れ、余計な空気を抜き、冷蔵庫にしまっておくことをおすすめします。なお、冷「凍」庫にしまうと、お米の水分が凍り、お米がひび割れを起こす原因になるので、あくまで冷「蔵」庫がおすすめです。