【特別寄稿】その15―玄米にはアブシジン酸があるから、玄米食は良くないとの誤解



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アブシジン酸は植物の種子に含まれている発芽抑制を担うもので、その種子が充分に吸水して胚が育つ条件が整うとアブシジン酸は失効するようになっている。

従ってコメも稲の種子であるから、アブシジン酸は勿論含まれているので、充分に吸水させてから炊飯すれば、アブシジン酸は失効しているから、何ら心配する必要は無い。

炊飯前の玄米(写真はイメージです)

尤も他の動物は乾燥状態の穀物を食べているから、アブシジン酸を恐れる必要がないとの説もあるから、その説に従うとコメを充分に吸水しないで炊飯しても何ら悪影響がないことになるが、私が自らの人体実験では必ずしも無害だとは言い切れないように思うが、実際のところ、それはアブシジン酸のせいなのか、それとも吸水していないために硬くて消化不良のせいなのかが判然としないものの、もしもアブシジン酸のせいだとすると、蝋質の表皮に覆われたままの玄米では、少なくとも24時間以上の浸漬をしないとアブシジン酸が失効しない。しかし蝋質の表皮を除去した『本当のコメ(玄米)』であれば、通常の浸漬でも充分に吸水するので、アブシジン酸による支障はあり得ないのである。

<文>

東洋ライス株式会社 代表取締役社長

東京農業大学客員教授

雜賀慶二さん