【特別寄稿】 その2―コメは炊き方で、人の健康に影響を与えるとは思えないとの誤解



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人々はコメを炊くことは、生米のままでは食べられないから、食べられるようにご飯にする事だと思われているだろう。しかしコメを炊くことは、とっても大切な『コメの栄養成分を数10倍も増加させる』との重大な役目を担っているのであり、その炊き方によって、人の健康を大きく変えるのである。

そこで『コメを炊く』とは、まず① コメ研ぎ(無洗米はそれが省略)、②浸漬(コメを水に浸けること)、 ③ 炊飯、の順序で行われるが、人々はこの②の浸漬をするのは、柔らかくふっくらと炊き上がらせるためだと思われているだろうが、それよりも遥かに大切な目的がある。即ちコメには多かれ少なかれ『酵素』を保有していて、その酵素はコメが乾燥している時は大人しくしているが、コメが水に浸かると、約1時間で含水率が飽和点に達する頃には、米粒の『胚』が発芽するための食べ物を作るために、酵素が俄然活躍し、触媒作用にてどんどん胚乳の澱粉や蛋白質などを化学変化させ、それによって生み出されたオリゴ糖などの多種多様の成分は、『胚』だけではなく、人間にとっても素晴らしい栄養成分なのである。

(写真はイメージです)

従って②の浸漬をしなかったり、浸漬時間が短いと、後は酵素が活躍できるのは炊飯釜で水温が高温に上昇するまでの短時間しかないから、せっかく酵素の働きによって享受できるはずであった多くの多種多様な栄養素がほとんど摂取出来ないことになる。だから②が人の健康にとっても大切なことがお分かり頂けただろう。従って②をせず直ぐ炊きしたり、僅かな時間しかしないのはもってのほかと言うべきって、② の時間を一般的には1時間であるが、それを2時間にするだけでも享受出来る栄養成分量に大差が生じるのである。

なおそこで重要なのは、白米は酵素を保有している糠層をほとんど取り去ってしまってるので、浸漬による健康効果は僅かしか期待できない。従って、後に説明をする本当のコメ(糠が残っているコメ)と、そうでないコメ(糠を取りきってしまった白米)によっても、人間が摂取する栄養成分量がとてつもなく大差ができるのである。

 

「目からウロコ 『コメ』って こんなに誤解されていたんだ!」――その3に続きます

 

<文>

東洋ライス株式会社 代表取締役社長

東京農業大学客員教授

雜賀慶二さん