【特別寄稿】その5―胚芽米についての誤解



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世の人々は、胚芽米についてもご理解されていないようである。

胚芽米と言うものは、明治時代に白米食によるビタミン不足を解消するために現れたのであるが、白米にはほとんど胚芽は無いのは、もともと玄米に付いていた胚芽が、精米過程で脱落してしまうからであり、それを特別に胚芽が脱落しにくいような精米作業をするとともに、白米になっていない段階で仕上げると、ほとんどの米粒には胚芽が残っていて、それを『胚芽米』と呼称していたのであるが、実際のところ低精白度米の『分つき米』とほぼ同じであり、白米と比べると実に美味しくないものであった。

しかし昭和50年頃に、国がもっと美味しく食べられるようにとのことから、高精白度米で、全米粒の80%以上に胚芽が付いているとの品位基準を設定し、それを『胚芽精米』だと規定されたのである。しかしその基準には品種や精白度についての規制がなかったので、いわゆる国の品位基準をクリアする『胚芽精米』をつくるには、胚芽が脱落し難い品種の玄米を使用せざるを得ないが、その様な品種のコメは総じて食味が悪く、一方、食味のよい品種のコメは胚芽が脱落しやすいので、それを80%以上残存させるには、精白度を低くせざるを得ないので、まるで分搗き米同然になり、いずれも白米と比べると格段に食味が悪く、結果としてほとんど普及しなかったのである。

やっぱりご飯はおいしく食べたいもの(写真はイメージです)

尤も世の中には極く一部の人達は愛用しているようでもあるが、そのほとんどは、胚芽精米ではなく、胚芽米と言う名の分搗き米だと思われる。

ともあれ世の人々は混同してるが、胚芽米には、① 胚芽米、 ② 分つき米、 ③胚芽精米、があり、①と②はほぼ同じもの、③は①や②とは異なるが、いずれも白米より美味しくないし、また不味いのを我慢して食べるほどの価値があるとは思えないのである。

私が数年間に亘りそれらのコメを常食したが、目立った健康効果がみられなかったからである。思うに、栄養豊富なものでも、『不味い』と思いながら我慢しての常食では無意味なのだろう。

神様がつくられた人体の仕組みは、まだまだ未知の世界である。要するに食べ物は先ず美味しく食べられることが肝要で、それを常食していると健康効果が現れるものが望まれるところである。

「目からウロコ『コメ』ってこんなに誤解されていたんだ!」――その6に続きます

 

<文>

東洋ライス株式会社 代表取締役社長

東京農業大学客員教授

雜賀慶二さん