日本一って本当?北海道米「ゆめぴりか」大研究

人気ブランド米として知られる「ゆめぴりか」は、北海道生まれのお米。「日本一おいしいお米を作る」ことを目指して開発され、特Aランクを連続受賞するなど、その味には定評があります。昭和の時代には米作りに向いていないとまで言われた北海道の地から、大ヒット米「ゆめぴりか」が誕生した理由やその魅力をご紹介しましょう。


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米王国でもある北海道。食の宝庫になるまでに多大な努力が払われた

「北海道から日本一おいしいお米を」という夢

今では「コシヒカリ」と並ぶ有名米となった「ゆめぴりか」。デビューしたのは2011年と、実はそれほど前ではありません。JA北海道が「北海道から日本で一番おいしい最高級ブランド米を」との意気込みのもとに、上川農業試験場で約10年をかけ開発した新しい品種なのです。

この大きな夢を支えていたのは、米作りにチャレンジを続けてきた北海道の歴史です。北海道は寒冷な気候のため米作りに不向きとされてきた時代も長く、他府県に味のおとる「やっかいどう米」と呼ばれたこともありました。しかしこの悔しさをばねに意欲的に品種開発に取り組んだ結果、「きらら397」「ななつぼし」など人気米を輩出。今では北海道は米の作付面積・収穫量ともに1位の新潟県118,200ha/627,600tについで、2位が北海道104,000ha/514,800t、3位秋田県87,700ha/491,100tと、日本有数の米どころとなりました。(※2018年 農林水産省調べ)

そして関係者が次に目指したのが、米どころ北海道で「日本一おいしいお米」を作ること。1997年に多数の研究者が上川農業試験場に集められ、味に優れた複数の品種をベースに約15万体の交配した検体が植えられました。「食味」「収量」「耐冷性」に優れたものを絞り込み、約10年をかけて育成を続けた結果、ついに「系統名:上育453号」を生み出すことに成功したのです。

この「上育453号」の品種名は一般公募され、応募総数3,422点の中から札幌市の男性による「ゆめぴりか」が選ばれました。北海道の人たちの「夢」とアイヌ語で美しい、素晴らしいを意味する「ピリカ」に由来した命名で、北海道らしく語感もよいことから採用になったそうです。

北海道から素晴らしいお米がデビューするらしいと前評判は高く、正式な発売前から予約が殺到。市場に出回るようになると、またたく間に全国で名前が知られるようになりました。今では北海道の水稲作付面積の約23%で「ゆめぴりか」を育てています。(※2019年 北海道農政部調べ)

さらに日本穀物検定協会「米の食味ランキング」で、全国100種類以上の品種の中から北海道産「ゆめぴりか」は最高位の特Aランクを最新2021年まで10年連続で獲得。北海道米の最高米は、名実ともに日本を代表するおいしいお米としてその地位を保っています。

料理人でゆめぴりかを押す人は多い

「ゆめぴりか」の見た目や味、向いているメニューは?

「ゆめぴりか」の粒の見た目は大きく、ツヤがあり美しい炊きあがりとなります。でんぷんの分子アミロースの含有率が低いため、プリっとしてもちもち。強い粘り気があるため、冷めてもおいしいお米としても知られています。タンパク質含有量が比較的低いことで、やわらかさと同時にしっかりとした食感があるのも特長です。

味は、「まったく新しいお米として味わってほしい」との開発者の夢を実現した特別感のあるおいしさ。ほどよい粘りと上質で豊かな甘みが広がり、幅広い年代から高い評価を集めています。お米マイスターさんの中には「飲み込んだ後でも、のどの奥から甘みが戻ってくる」とコメントしている方もいらっしゃいました。

また、「ゆめぴりか」はデビューからほどなく高級料亭や大手航空会社のファーストクラス機内食などに選ばれ続けています。食の名店や一流料理人も認める本当においしいお米であることが分かりますね。

では「ゆめぴりか」に向いているメニューとは何でしょうか。「白米だけで食べてもおいしい、おかず要らずのお米」とまで言われ、さらに冷めてもおいしく、もちもちのやわらかさや甘さが続く性質をもっていることから、おにぎりやお弁当との相性がとてもよいです。またお料理との相性では、和食と洋食を問わずに幅広い料理によく合います。味付けの濃い料理と合わせてもひけをとらないため、肉料理や煮物に合わせることもおすすめとされています。

これを読んでさっそく「ゆめぴりか」を自宅で味わってみようと思われた方に、「ゆめぴりか」の生産者さんサイトでおすすめされていた炊き方のコツをお伝えします。それは、水の量をお米一合につき大さじ一杯分減らすこと。粘りがあってやわらかいお米である「ゆめぴりか」は、水の量がおいしさの決め手になるとか。お水を入れたら、すぐに炊飯ボタンを押したほうがいいそうです。

「ゆめぴりか」を購入するときに、気をつけたいこと

有名ブランド米となった「ゆめぴりか」。生産管理とともに、その品質やブランド力を守るための活動も行われています。これは人気が広がるとともに、残念ながら品質基準をみたしていない商品が流通している、品質にばらつきがあるとなどの苦情もまた聞かれるようになったためです。

そこで結成されたのが、生産者・JA・北海道の三者による「北海道米の新たなブランド形成協議会」です。協議会では「種子更新率100%」「栽培適地での生産」「タンパク含有率基準」など全道統一のルールを定め、その基準を満たした「ゆめぴりか」に認定マークを表示する取り組みを行っています。

2015年からは、他品種に比べ手間のかかる「ゆめぴりか」の生産に努力を惜しまず高品質なお米を出荷している生産者への表彰制度もはじまりました。多くの関係者の手間とこだわりにより、北海道の最高品質米「ゆめぴりか」はこれからも守られていくことでしょう。

今年も「美味しい!」

【まとめ】

「ゆめぴりか」は北海道米の最高峰をめざして、JA北海道が約10年をかけて研究し育成した品種です。デビューした年より「米の食味ランキング」で特Aランクを10年連続受賞するなど、そのおいしさと名前は今では日本で知られています。ツヤがある美しい炊きあがり、もちもちとした粘りのある食感、上品で豊かな甘みなどが特長。味の濃い料理をはじめ幅広いメニューとよくあい、冷めてもおいしさが続くことであうことからおにぎりやお弁当もぴったりです。また、ルールに沿って栽培された「ゆめぴりか」だけに認定マークをつけるなど、ブランドを守る努力が続けられています。

(文/n)