前編:ロウカット玄米はダイエットによい? 栄養は? 炊き方は?
を先にお読みください!
お米の歴史に残る大発明だと思っています
夏目 では『ロウカット玄米』はどうつくるんですか? 雜賀社長ご自身が考案したと聞いていますが?
雜賀 はい。当社は精米機のメーカーで、自社の機械で精米したお米も販売しています。『金芽ロウカット玄米』も同じで、私自身が機械を発明し、その機械で玄米のロウ層をとってお米を販売しています。
夏目 雜賀さん、発明家なんですね。
雜賀 ずっとお米に関して問題意識を持って考え続けているので、常に「こういうお米があればいい」というアイデアがあるんです。そしてふとした瞬間「こうすれば実現できるんじゃないか」と機械の構造を思いつくんですね。
夏目 発明家がどうやって発明するのか伺ってみたいです。
雜賀 私、思考には「集中思考」と「拡散思考」があると思っています。集中思考はテストの問題を解く時のようなもので、一般的に「考える」と言うとこちらを指します。一方「拡散思考」は、テレビを見ていても風呂に入っていても常に頭のどこかでヒントを探している、という状態を何年も、時には何十年も続けることを指します。そして、ヒントは自然界や他の機械など様々なところにあって、それが解決したい何かと、ふと、結びつくことがあるんです。
夏目 なるほど。
雜賀 今回は「ロウの部分だけとればいい」という部分が一番の発見でした。そして、私は今までも様々な精米機を発明してきたので、その応用でこれができる機械をつくったんです。ただ、簡単なものではないんですよ。精米する時は、米と米をこすり合わせ、圧力をかけて糠(ヌカ)をとります。圧力をかけすぎると、ロウ層の内側のヌカ層もとれてしまいますし、圧力が低いとロウ層がとれません。ここが難しかった。
夏目 深く聞きたくても、そこ、特許なんですよね?
雜賀 はい。ただ、何かの添加物を使っているわけでなく、伝統的な精米と同じように機械で圧力をかけ、ロウ層をとっています。
――特許と言えば、これも大変だったんですよ。
夏目 というと?
雜賀 ロウ層を除去した玄米商品は従来から存在はしたんです。しかしどれもロウ層を均等に除去していなかったので、炊飯するとお米が割れたり、曲がったり、米粒が白米同様に膨張しきらなかったりして、従来の玄米の域を脱していなかったんですね。
そんな中、2014年に『金芽ロウカット玄米』の特許を出願すると、精米等に関わる様々な企業から特許庁に「これは特許とは言えない」といった申し立てがありました。
夏目 他社さんにすれば脅威を感じますよね。
雜賀 だと思います。この申し立ての数が多く、特許庁は審査官による査定でなく、特許庁審判長による審決を行ったんです。そして6年間かけ『金芽ロウカット玄米』は、玄米の表面を覆う防水性が高い「ロウ層」を均等に除去する独自加工技術により生まれた商品、と認定されました。発明もそうですが、この特許を取得するのが非常に大変だったんですね。
夏目 玄米が体にいい、というのはよく言われることで、考えてみればこれ、お米の歴史に残る発明ですからね。
雜賀 はい、当社の『BG無洗米』も『金芽米』もそうですが、僕は今回もお米の歴史に残る大発明をしたと思っています(笑)。
夏目 え、それも雜賀さんの発明なんですか!?
日本人は玄米で健康に!?
夏目 では最後にロウカット玄米の栄養についても伺いたいと思います。「玄米は体にいい」だけじゃなく、様々研究されているんですよね?
雜賀 今『金芽ロウカット玄米』は当社の研究だけでなく、様々な学術機関の研究対象になっています。例えば東京医科大学附属病院の先生が講演でこんなことをおっしゃってくれていますよ。(と、新聞を渡された)
「金芽米の各栄養素の中には、体内の自然免疫を高めると学術的エビデンスがある『LPS(リポポリサッカライド)』が存在する」「体内にある免疫細胞『マクロファージ』を活性化させ、外部から入ってきた毒素やウイルスを退治する力がつく」「新型コロナウイルス症病者に対しても有効ではないかと考えている」――。(出典:新聞『商経アドバイス』)
夏目 これ、大発明じゃないですか。
そもそも免疫が高まるってすごいことだと思います。カゼもインフルエンザもガンも、ならないため、治すためには免疫を高めておくことが大切なわけで……。
雜賀 しかも凄いのは、これが自然の食べ物だ、ということです。
――あ、ただし注意してほしいことがあります。洗わずに炊いてほしいんです。当社は無洗米の中でも『BG無洗米』という優れた方式を発明していて、『金芽ロウカット玄米』も、このBG無洗米の状態で出荷しています。水に浸けると少し白く濁りますが、そのままの方がおいしく、栄養豊富に炊けるんですよ。
夏目 ネットを見ると「でも1~2回すすいで炊く」といった方もいますが?
雜賀 完全に誤解です。あの白い濁りは、お米の表面のでんぷんが水に溶けだすのと気泡によるものです。無洗米の誤解については困っているんですよ。よく「洗わなくて済むから便利」と紹介されますが、私が開発したきっかけは環境問題のためですし……。
夏目 それもまた取材させてください。いろいろ話がふくらみましたが、最後に“ロウカット玄米”の開発者として世の中に何か伝えたいことはありますか?
雜賀 それはもう、多くの方に召し上がっていただきたいですね。お米のイメージが変わると思います。糖質制限が流行るなどして、まるでお米が悪者のように言われていますが、もし私がお米ならたまったものではありません。
夏目 その比喩は人生で初めて聞きました。
雜賀 玄米は栄養食です。ビタミンなどの他、先ほど話した『LPS(リポポリサッカライド)』、『GABA(ギャバ)』など様々な栄養素があって、『金芽ロウカット玄米』の実験では、悪玉コレステロールの値を下げる、という結果も出ています。
無理に痩せようとして糖質を抜くより、普段のお米を『金芽ロウカット玄米』に変えてみられてはいかがでしょうか。自然と摂取カロリーを減らせ、かつ健康にも寄与するはずです。
夏目 げっそりすることと、綺麗にダイエットすることって、似て非なるものですよね。
雜賀 あとはぜひ、外食産業の方にも採用していただきたいですね。家で金芽米を食べている、ロウカット玄米を食べている、という方が増えています。“当店はロウカット玄米も選べます”とか“当店のお米は金芽米です”と宣伝すれば、それを理由にお客様がいらっしゃるかもしれません。栄養豊富なお米を食べたくても、外で食べられず困っている方も多いんです。
夏目 『金芽ロウカット玄米』、売れてるんですか?
雜賀 発売以降、毎年出荷量が増加していて、2018年2月から36ヶ月連続で玄米商品カテゴリーの売上No.1です。お米の消費量は伸びていませんが、玄米の市場は伸びていて、中でも『金芽ロウカット玄米』はそれを上回るペースで伸びているんですよ。
夏目 最近米国でも、麦なら全粒粉のまま、お米なら玄米のまま食べる『スーパーフード』が流行ってますからね。
今回の取材で、一番衝撃的だったのは、お米の栄養豊富な部分をわざわざ捨ててきた、というところです。もしかしたら近い将来、日本人は再び、少し茶色いお米を食べているのかもしれませんね。